失われた組織や器官の再建を目的とした再建外科は、現在も先端医療としての重責を果たしています。しかし、再建外科の中心的療法である人工臓器や臓器移植に対する難点も指摘されています。たとえば、人工臓器による再建外科は組織への適合性や単一の機能回復しか望めませんし、また臓器移植では慢性的なドナー不足や免疫抑制剤による副作用などが問題視されています。
この先端医療の限界とも言うべき状況が指摘されているなか、自分の生きた細胞から、失った組織を再生させようとする新時代の再建医療として、組織工学が注目を浴びています。組織工学的観点から、組織再生には3つの要件が必要とされています。すなわち、生きた細胞(Cell)、細胞が定着する足場(Scafold)、そして細胞が増殖・分化するために必要な成長因子(Growth Factors)の3つです。
歯科領域においては、歯周炎によって破壊された歯周組織を再生させるために、これまでに様々な方法が試みられてきました。アタッチメントロスを生じた歯根面への化学的根面処理、自家骨や人工材料の移植、組織再生誘導法(GTR)法、さらにはエナメルマトリックスデリバティブなどが考案され、現在でも幅広く臨床に導入されています。しかし、これらの再生療法では組織再生に必要なすべての条件を満たしているとはいえなかったのです。
